今回は「key(キー)の決め方」について書いてみます。
カラオケなどでよく「keyを上げる」「keyを下げる」という言葉を耳にすると思いますが、
作曲や編曲でも、この“keyをどこに設定するか”は大切です。
楽譜を見ると、左側に「♯」や「♭」などの調号がついていますね。
これも “曲がどのキーで作られているか”を表しています。
いろんなkeyの曲がありますが、世の中の作曲家やアレンジャーは、
曲を作るときに何を基準にキーを決めているのでしょうか?
作曲を始めたばかりの人にとっては、
意外と分かりづらい部分かもしれませんね。
そこで今回は、キーを決めるときの考え方を
基礎から、実際の作曲現場でどう判断しているかまで、
できるだけ分かりやすくまとめてみました。
キー(Key)とは何か?|
はじめてでも分かる「調号」と音の仕組み
まずは、そもそも「キー=調」が何を意味しているのかを
簡単に整理しておきましょう。

音楽の「キー(調)」とは、曲全体の“高さ”や“スケールの種類”を表すものです。
カラオケの「キー変更」のように、
メロディ全部を、丸ごと高くしたり低くしたりするイメージですね。
たとえば調号が…
- 何もつかない → C(ハ長調)
- ♯が1つ → G(ト長調)
- ♭が2つ → B♭(変ロ長調)
というように、調号を見るだけで「この曲は何調なのか」が分かります。
また、同じ調号でも「明るい長調(メジャーキー)」と
「暗い短調(マイナーキー)」があります。
キーの決め方|
作曲初心者が最初に知るべき4つの判断基準
曲のキーを決めるときは、主に以下の4つを総合的に見て判断します。
- ヴォーカルが「良い声で」歌える音域
- 使う楽器の音域(出せる高さ)と「良い音が鳴る」音域
- 曲の雰囲気(軽い・重い・明るい・暗い)
- 演奏のしやすさ(楽器ごとの相性)
では順番に見ていきましょう。
① ボーカルの「良い声が出る音域」に合わせたキーの決め方
これは最も分かりやすい基準だと思います。
カラオケでも「自分にとって歌いやすいキー」がありますよね。
それと同じように、その曲を歌う人の声が、
一番心地よく響く高さに合わせて曲のキーを設定します。
ヴォーカルは、声が出せる範囲(音域)の中でも、
- 気持ちよく響く音域
- 苦しく張り上げる音域
- 低すぎて聞こえにくい音域
などがあります。
ヴォーカルが出せる最高音だけを基準にして、無理にキーを高く設定すると、
サビで声がつぶれてしまったり、
逆に低すぎるとAメロが沈んでしまいます。
そのため、まずは作曲時に仮キーでメロディを作り、
後からヴォーカルの音域に合わせて微調整(移調)するのが一般的です。
② 使う楽器の音域と「良い音が鳴る高さ」から決める方法
生楽器は、楽器によって“出せる音の範囲”があります。
また、ヴォーカルと同じく生楽器も、
「出せる音」と「良い音で鳴る音」は、少し異なります。
メロディ(主旋律)を担当する楽器は、
特に「その楽器が一番気持ちよく鳴る高さ」に合わせてあげる必要があります。
例えば…
- フルート → 中高音が一番きれい
- サックス → 中域が太くて心地良い
- バイオリン → 高いポジションは細くなりやすい
など、楽器ごとに“得意な音域”があります。
ここを無視すると、せっかくのメロディが
魅力的に聴こえなくなってしまうので注意しましょう。
③ 曲の雰囲気(軽い・重い・明るい・暗い)に合わせて選ぶ方法
キーによって、曲の雰囲気が微妙に変わることがあります。
- 高めのキー → 軽い・爽やか・明るい
- 低めのキー → 重厚・落ち着く・深みがある
これは、音域によって、楽器の響き方や声の印象が変わるためです。
曲の雰囲気がしっくりこないときは、
キーを少し上げ下げして、調整してみるのも良いでしょう。
④ 楽器ごとの“得意なキー・苦手なキー”の違いを理解する
楽器によって、“弾きやすいキー”と“難しいキー”があります。
●ピアノ
C・G・Fなど調号が少ないキーが読みやすいです。
黒鍵が多いキーでも弾けますが、
初心者やライブ現場では、シンプルな調号が好まれます。
● ギター
開放弦の関係でE・A・Dが弾きやすいキーです。
ロックでよく使われる理由ですね。
● 管楽器(トランペット・サックスなど)
管楽器は“移調楽器”のため、実音(鳴っている音)と譜面の音が異なります。
ピアノでは簡単でも、管楽器側では難易度が上がる…ということが起こります。
そのため、バンドやアンサンブル編成の場合は、
楽器全体、特に管楽器の得意なキーを考慮する必要があります。
失敗を防ぐための「チェックリスト」【保存版】
最後に、キー設定で失敗を防ぐための
チェックポイントをまとめておきますね。
これを確認しておくと、キー選びの失敗がかなり減ると思います。
- ヴォーカルは、サビの最高音が無理なく出せるか?
「ギリギリで出す声」の魅力もありますが、
基本的には、無理なく出せるキーにしましょう。 - ヴォーカルは、Aメロの低音が沈みすぎていないか?
低音域も、低すぎると聞き取りづらくなります。
無理なく出せるキーにしましょう。 - インスト曲では、主役の楽器が“良い音”で鳴っているか?
使用可能音域に収めることはもちろん、
一番魅力的な音が出せる音域に、キーを合わせましょう。 - 演奏者にとって難しすぎるキーになっていないか?
特にギター・管楽器には配慮しましょう。 - キー変更した後、使用可能音域から外れている楽器は無いか?
キー変更すると、使用可能音域から外れる楽器が出てくる場合があります。
こういう時は、転回形やオクターブ上下させて、
アレンジ(編曲)の微調整をおこないましょう。
これらを総合的に判断して、
“自然で気持ちよく聴こえるキー”を決めていきましょう!
まとめ|
初心者は“仮キーでOK”→後から移調しながらベストを探そう
キーを決める作業は、一見すると感覚的なようで、
実はボーカル・楽器音域・曲の雰囲気・演奏のしやすさなど
多くの要素が絡んでいます。
初心者のうちは難しく考えすぎなくても大丈夫です。
まずは「仮のキー」で気楽に作り、後から移調しながら
ベストな高さを見つけていきましょう。
今回の内容を参考に、あなたの曲作りにぴったりの
キーを見つけてみてくださいね(^◇^)ノ
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